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開幕戦アブダビは2014年に続き、ポール・ボノム選手が連覇。ディフェンディング・チャンピオンのナイジェル・ラム選手は4ポイント、室屋義秀選手も3ポイントを獲得! 次戦はいよいよ日本で開催!!


世界最高峰のレースパイロットたちが、知力、体力、精神力の限りを尽くして3次元で競う「レッドブル・エアレース・ワールド・チャンピオンシップ」の2015シーズンが、2月13-14日、ついにアラブ首長国連邦のアブダビで開幕を迎えました。
パイロットのシートが2つ増え、14名による争いとなった今シーズン、激しさを増す予選で気を吐いたのは、室屋義秀選手でした。風向きが変わりやすいコンディションのため、エアゲートへの接触などペナルティを受ける選手が続出するなか、ステディな操縦テクニックを披露して予選3位のタイムをたたき出しました。
「新しくチームに加入したベンジャミン・フリーラブが、飛行ラインの計算や分析だけでなく、機体の組み立てからそのほかの細々したことまでやってくれました。それが結果に結びついたのかもしれないですね。決勝は相手が誰であれ、自分のイメージ通りの飛行ができるようベストを尽くすだけです」(室屋)。
決勝は予選タイムをもとに、今年から導入された1対1のマッチプレー形式で対戦。7名の勝者と、敗者7名のうち最もタイムの良かった1名の計8名が勝ち残ることになります。
室屋選手はこの「ラウンド・オブ14」を見事に勝ち抜きましたが、「ラウンド・オブ8」でピート・マクリード選手に惜敗。「ファイナル4」には進めませんでした。


© Balasz Gardi/Red Bull Content Pool

一方、ブライトリング・レーシングチームはディフェンディング・チャンピオンであるナイジェル・ラム選手と、フランス空軍の元エースパイロットであり2013年の世界エアロバティック選手権の覇者、フランソワ・ルボット選手の2名体制。
「ほかのチームは開幕戦ということもあり、少しゆっくりしたペースで準備を進めていたかもしれない」と語ったポール・ボノム選手に、「ラウンド・オブ14」で敗れたナイジェル・ラム選手でしたが、タイムによる救済措置で「ラウンド・オブ8」へ進出。しかし、ここでも対戦相手が同じポール・ボノム選手となって敗戦。この日、絶好調だったポール・ボノム選手は、ラム選手を連破した勢いのまま、見事に優勝を飾りました。
フランソワ・ルボット選手は、初めてのエアレースにとまどったのか、2013年世界エアロバティック選手権優勝の実力を発揮できないままに、準優勝となったマット・ホール選手に「ラウンド・オブ14」で敗退。ぜひ、次戦で雪辱を果たしてほしいもの。
その次なる第2戦となるのが、5月16-17日、幕張海浜公園で開催される千葉大会。開幕戦で「ファイナル4」に進めなかったとはいえ、ナイジェル・ラム選手は5位で4ポイント、室屋義秀選手は6位で3ポイントを獲得しています。前売りチケットも売れ行き好調とのこと。ぜひ、大迫力のレース会場で、選手たちに大声援を届けよう!

エアレース世界選手権2015「第2戦in千葉」直前情報

千葉・幕張海浜公園を舞台に、世界最高峰のパイロットたちがタイムを競う「レッドブル・エアレース・ワールド・チャンピオンシップ2015」第2戦が、よいよ5月16日(土)、17日(日)に迫りました。

2月14日の開幕戦アブダビでは、ブライトリング・レーシングチームのナイジェル・ラム選手は「ラウンド・オブ8」で敗退して4ポイント獲得の5位、フランソワ・ルボット選手は「ラウンド・オブ14」で敗れて0ポイントという結果。また、室屋義秀選手も「ラウンド・オブ8」で惜敗し、4ポイント獲得の6位でした。
しかし、それから3か月も間が空いたこともあり、各選手がどこまでレベルアップしてきたか未知数。しかも千葉ラウンドは、今シーズン唯一の初開催場所となるため、当然パイロットも初めて千葉を飛行することになります。強い海風が瞬時に方向を変えるため、その影響をはかりかねているのが現状で、ある意味でエントリーする14人全員に勝利のチャンスがあるといえるかもしれません。

注目すべきは、もちろん我らがブライトリング・レーシングチーム。2014年シーズンの年間チャンピオンに輝いたナイジェル・ラム選手は、フレンドリーでもっとも尊敬を集めているパイロットのひとり。1956年生まれの英国人で、2005年から参戦を続け、毎年着実に順位を上げてきました。熟練のテクニックはますます磨き抜かれ、いまなお進化を続けています。抜群の安定感を武器に、千葉ラウンドでも優勝争いにからんでくるのは間違いありません。

ブライトリング・レーシングチームのもうひとり、フランソワ・ルボット選手にも期待しましょう。昨シーズンのチャレンジカップで3勝し、今年からマスタークラスへ昇格してきた45歳。11年間に及ぶフランス軍アエロバティックチーム「パトルーユ・ド・フランス」で培われた技術と実力は本物です。2013年には世界エアロバティック選手権で優勝したこともあり、いわば勝ち方を知っているパイロット。今後、徐々に頭角を現してくると目されています。

そして、幕張海浜公園の大歓声に迎えられて飛行するのが、Team MUROYA 31の室屋義秀選手です。1972年生まれの42歳。1997年からエアロバティック競技を始め、2009年にアジア人として初めてエアレースに参戦。昨シーズンは第2戦クロアチアで見事3位表彰台に立ちました。風が強いコンディションにも強く、実は幕張海浜公園の空域で飛行経験がある唯一の選手。千葉ラウンドを前に新型機EDGE 540 V3を得て、機体の性能も他チームと比肩するまでになりました。いよいよ優勝も狙える位置にたどり着いたのです!

生で見るエアレースの迫力はケタ外れ。観客席からコース全体が見渡せるので、手に汗握るエキサイティングなレースを体感できるはず。もし、残念ながらレース観戦できない、という方には、5月17日(日)夜8時から、当日行われる本戦の模様がNHK BS1で放送予定です。



レッドブル・エアレース千葉開催の詳細などは、http://www.redbullairrace.com/ja_JP/event/chiba-2015

「レッドブル・エアレース・ワールド・チャンピオンシップ 2015」第2戦 in千葉日本初開催! 室屋義秀選手がコースレコードを樹立!

「50秒779! 最速タイムです!」
ブライトリング・パイロットの室屋義秀選手がフィニッシュした瞬間、アナウンスを聞いて幕張海浜公園に集まった6万人を超えるの観客席から「うぉおー!」と地鳴りのような歓声が響きわたりました。本大会からニューマシンEDGE540 V3を導入し、ライバルたちと対等に闘う条件が揃ったサムライ・パイロットは、期待通りの速さ絶対的なスピードを見せつけたのです。
結局、「ラウンド・オブ・14」でたたき出したこのタイムが千葉戦のコースレコードとなったものの、「ラウンド・オブ・8」でぶつかったのは優勝候補のボール・ボノム。ここでも51秒478の好タイムを記録した室屋選手のアグレッシブな飛行に一瞬沸いた観客席でしたが、「DNF」の表示に、大歓声は溜め息へと変わりました。
「相手がボノム選手なので、チームとしては当然100%で行くと決めていました。フライト自体はいい感じだったけれど、最後に101%の力が入ってしまった」(室屋)
レッドブル・エアレースでは安全性に配慮して370km/hの時速制限と10G制限が設定されており、最後のターンで室屋選手は攻めに攻めた結果、オーバーGによる失格となってしまったのです。
対するボノム選手は51秒392のタイムで「ファイナル4」へ進み、そこでも51秒502のスムーズな飛行で見事に2戦連続の優勝を決めました。
レースに“もし”は禁句ですが、ボノム選手に勝っていたら室屋初優勝の可能性も充分にありました。わずかな差で勝負に負けた室屋選手はですが、「今回の日本ラウンドで、我々のチームは強くなった。大きくステップを踏みました」と、残り6戦につながる確かな手応えをつかんだようです。


ブライトリングの世界観を12万人が体感!

イエローの機体に「BREITLING」のロゴを大きく描いたブライトリング・チームの2機が、日本・民間航空発祥の地である千葉の大空を飛ぶ姿は、ブライトリング・ファンにとって夢のような景色だったに違いありません。すべてのパイロンにはブライトリングの文字が入り、会場内の大型ビジョンに映し出されるリアルタイム表示にも、公式計時を担当するブライトリングのロゴが記されていました。2日間でのべ12万人超の大観衆が沸いた、世界最速のモータースポーツ・レースシリーズ“空のF1”は、まさしく「ブライトリングの世界」そのものでした。
一方、16日(土)の予選にフランソワ・ル・ボット選手が機体トラブルで出場できなくなり、また、17日(日)の「ラウンド・オブ・14」で、第1戦2位の絶好調マット・ホール選手がナイジェル・ラム選手に勝利したときは、反対に悪夢を見る思いだったかもしれません。しかし、「ラウンド・オブ・14」の敗者最速タイムだったラム選手は「ラウンド・オブ・8」の残る1枠を獲得。ベテランらしい安定したフライトを披露しながら僅差で敗れ、「ファイナル4」には残れなかったものの、終わってみれば5位。ポイントランキングでもボール・ボノム選手、マット・ホール選手に続く3位につけています。本大会では力を出し切れなかったフランソワ・ル・ボット選手ともども、5月30・31日開催の第3戦クロアチア大会へ向けて気持ちを切り替えてほしいもの。そして10月の最終戦ラスベガスで、最後に笑うのはボノム選手か、ラム選手か、あるいは室屋義秀選手か? パイロットたちと同様に我々も全力で、タイトルの行方を見守っていきましょう。

「レッドブル・エアレース・ワールド・チャンピオンシップ 2015」第2戦 in千葉日本初開催! 室屋義秀選手がコースレコードを樹立!

2日間で12万人が熱狂した千葉・幕張海浜公園での日本初開催から2週間後、5月30・31日にレッドブル・エアレース・ワールド・チャンピオンシップ第3戦が、アドリア海に面したクロアチアの古都ロヴィニで開催されました。

千葉の長いレーストラックとは異なり、中世に栄えたロヴィニのコースはきわめてタイトでテクニカル。昨シーズン、この地で初めて表彰台に立った室屋義秀選手は、とくに期するものがあったに違いありません。

実際に室屋選手は、千葉ラウンドでコースレコードをたたき出した好調ぶりをそのままに、30日の予選を見事に自己最高の2位で通過。 新機体エッジ540 V3の仕上がりも上々とみられ、優勝候補のひとりにも挙げられていました。しかし、最初の「ラウンド・オブ・14」で、機体をパイロンにヒットさせる痛恨のミスにより敗退。 確実に上位を狙える力を披露しながらも、2年連続の表彰台や自己ベストの更新といった夢は次戦へとお預けになったのです。



室屋選手だけでなく、予選1位で千葉ラウンドの優勝者でもあるポール・ボノム選手が「ラウンド・オブ・8」でマット・ホール選手に負けるなど、ロヴィニ大会は波乱含みの展開。
そのホール選手を「ラウンド・オブ・14」で下したのが(ホール選手は敗者最速タイムで復活していた)、ブライトリング・チームのナイジェル・ラム選手でした。 今大会から新しく導入した昇降舵に慣れるほどにタイムが上がっていったものの、優勝したハイネス・アルヒ選手に「ラウンド・オブ・8」でぶつかって敗退し、5位に終わりました。
ブライトリング・チームのもうひとり、世界曲技飛行選手権 2013優勝者、フランソワ・ル・ボット選手は「ラウンド・オブ・14」で敗れ、次戦での飛躍を誓っています。

序盤3戦を終えて、ポイントランキングはボノム選手とホール選手が25ポイントで並び、アルヒ選手が17ポイントで3位、そしてナイジェル・ラム選手が12ポイントで4位と続きます。シーズンを通したラム選手の安定感が際立つ一方、次戦ブダベスト大会(7月4・5日)での室屋選手の爆発力にも期待したいところ。ル・ボット選手を含め、3人の活躍に注目!

「レッドブル・エアレース・ワールド・チャンピオンシップ 2015」第2戦 in千葉日本初開催! 室屋義秀選手がコースレコードを樹立!

7月4日・5日、レッドブル・エアレース・ワールド・チャンピオンシップ第4戦が、世界有数の美しい街並みとして知られるハンガリーの首都ブダペストで開催されました。日本の千葉・幕張海浜公園での第2戦から3ラウンド続けてレーストラックが海上設置となり、風の向きや強さが目まぐるしく変わる難しいコンディションが、世界最高峰のエアレース・パイロットたちを迎えたのです。

ブライトリング・レーシングチームにとって、ブダペストは試練のラウンドとなりました。ディフェンディングチャンピオンのナイジェル・ラム選手は、予選前のトレーニングでアグレッシブなフライトをみせるも、結果としてミスにつながり、逆に予選では慎重になりすぎて6位。「ラウンド・オブ・14」では順当にニコラス・イワノフ選手に勝利したものの、続く「ラウンド・オブ・8」はハンネス・アルヒ選手と当たって敗退。「今日はプッシュしすぎてしまった。自分のパフォーマンスにはまったく納得できていない」とコメントしました。

ブライトリング・レーシングチームのもうひとりのパイロット、フランソワ・ル・ボット選手は「上位とタイム差が縮まってきて、前回よりも楽しめたし、自信を得られた」と前向きに語ったものの、「ラウンド・オブ・14」で敗退。ブライトリング・レーシングチームにとってのブダペスト大会は、ラム選手の1ポイントだけに終わったのです。



一方、2ラウンド連続で予選2位につけ、新しい機体が順調に仕上がっていることを証明した室屋義秀選手でしたが、「ラウンド・オブ・14」の直前に機体のコンピューターシステムがダウン。オーバーGを回避するための画面表示も消え、パイロットの感覚だけで飛ぶことに。当然、失格やペナルティを受けないよう慎重な飛行となってタイムが伸びず、まさかの2戦連続「ラウンド・オブ・14」敗退に終わりました。
レースは、ハンネス・アルヒ選手が、ポール・ボノム選手を抑えて2戦連続優勝を飾り、タイトル争いでもマット・ホール選手と同じ29ポイントで2位に上昇。1位のポール・ボノム選手に5ポイント差まで迫りました。ナイジェル・ラム選手は13ポイントで6位、室屋義秀選手は4ポイントで11位。しかし、ナイジェル・ラムはまだ諦めていません。「まだ48ポイントある(優勝12ポイント×残り4戦)。すべてが終わったわけではない」。

第5戦は8月15・16日開催の英国アスコット。ブライトリング・チームと室屋選手の巻き返しに期待しよう!

室屋義秀選手、今シーズン初の表彰台で歓喜のシャンパンファイト!

第5戦アスコットのシャンパンファイトで、表彰台の室屋義秀選手は喜びを爆発させました。

前回3位に入ったのは2014年4月の第2戦。上位に入ることの難しさを実感した1年4ヵ月だったに違いありません。ただ、今シーズンは第2戦千葉で新型機を導入し、いきなり千葉戦初のコースレコードを叩き出すなど、絶対的なスピードでは負けないことを証明してきました。とくに直近2戦は連続して予選2位。残念ながら決勝でのトラブルやミスでポイントは獲れませんでしたが、「時間がないなか、この半年近くは新しい機体とコンピューターを詰めに詰めて準備をしてきました。その成果が出せてよかったです。表彰台に立つ準備はできていたので、同じ表彰台でも去年とは大きく意味が違います」と室屋選手。

とはいえ、機体はまだ調整途中で、アスコットでもこまかな不具合が発生していたと言います。
「優勝するには、まだひと山越えなければなりませんし、さらに安定して勝ち続けるにはもう一歩前に進むことが必要だと思っています。これからは少なくともファイナル4に残れるくらいの結果をキープしながら、いろいろなことに挑戦していきたい。他のチームも機体の改良を進めているので、できればポールやマットに追いつくように、少なくとも置いていかれないようにしなければいけません。チームとしては今まで通りやり続けていくだけですが、今回は表彰台というひとつの結果が出たことで、これから気分よく進んでいけると思います」



手に汗握る大興奮のレースを振り返ってみましょう。

戦いの舞台となったのは、ロンドンから西に60km、イギリス王室所有の格調高いアスコット競馬場。昨シーズンの第5戦、新生コルト・シリーズが正式発表された場所であり、ブライトリングにとっても縁の深いコースです。
しかし、英国特集の悪天候のため、予選前のトレーニング飛行がキャンセルされてしまいました。昨年、アスコットで優勝したポール・ボノム選手(英国)や、ハンネス・アルヒ選手(オーストリア)、マット・ホール選手(オーストラリア)といったポイントランキング上位陣は気にするそぶりも見せませんが、ブライトリング・レーシングチームのフランソワ・ル・ボット選手のように今シーズン初参戦のパイロットにとっては、大きなハンデを背負うことになりました。

8月16日の決勝、いきなりファン注目の対戦が実現! レース予選1位のボノム選手と、マシントラブルで予選最下位となったアルヒ選手の優勝候補ふたりが、「ラウンド・オブ・14」で激突したのです。ここではアルヒ選手が勝利し、ボノム選手は敗者最速タイムで救済されて、なんとか「ラウンド・オブ・8」へ。すると、ここでも両者が対戦。今度はボノム選手が雪辱を果たし、アルヒ選手は敗退。ボノム選手は地元英国の大きな声援を受けて、「ファイナル4」でもクリーンなフライトを披露して優勝。チャンピオンシップで12ポイントを上乗せして46ポイントとなり、2位のホール選手(38ポイント)、3位のアルヒ選手(30ポイント)との差を広げました。

ブライトリング・レーシングチームに所属するディフェンディングチャンピオンのナイジェル・ラム選手は、相手のミスにも助けられて「ラウンド・オブ・14」を勝ち抜き、「ラウンド・オブ・8」で好タイムを出すもホール選手に一歩届かず。それでもきっちり5位に入るあたりが、安定感抜群のベテランらしいところ。ポイントランキングでも4位と1ポイント差の5位につけて、さらなる上位を狙っています。
一方、チームメイトのフランソワ・ル・ボット選手には、スモークが出なくなるトラブルが発生。今シーズン初の内陸コースにも手こずって、「ラウンド・オブ・14」で残念ながら敗退しています。

3位に入った室屋選手の戦いぶりは見事でした。予選は5位でしたが、1分8秒を切ったパイロットは5名しかおらず、「飛んだ感触は悪くありませんでした」とコメント。その言葉通り、「ラウンド・オブ・14」では前回のブダペストで敗れたマティアス・ドルダラー選手に1秒以上の差をつけてリベンジに成功。続く「ラウンド・オブ・8」では会心のフライトを見せて、予選4位のピーター・ベゼネイ選手に快勝しました。
そして自身2度目となる「ファイナル4」で最初に飛んだ室屋選手ですが、6番ゲートで機体を水平に通過できず、痛恨のペナルティ2秒が加算されてしまいます。しかし、その後に飛んだニコラス・イワノフ選手とマット・ホール選手がともにペナルティを犯し、室屋選手はイワノフ選手を上回って表彰台を確保。最後にボノム選手が優勝を決め、室屋選手は3位が確定しました。
これで7ポイントを獲得した室屋選手は、ランキング8位に上昇。7ポイント差の4位までは、まず射程距離に収めたと言えるでしょう。

ますます楽しみになった次回のレッドブル・エアレース・ワールド・チャンピオンシップ第6戦は、9月5日・6日にオーストラリアのスピルバーグで開催されます。大いに、ご注目&ご声援ください!

室屋義秀選手、今シーズン初の表彰台で歓喜のシャンパンファイト!

第5戦アスコット(英国)からの後半戦は内陸レース。ブライトリング・レーシングチームのナイジェル・ラム選手は「スピード感が得られ、高度も把握しやすい。正しいラインを飛べているかを判断しやすい」と、前半戦の海上レースより気に入ったようですが、障害物が多く、視界がクリアでないため、内陸レースはミスをしたときの修正が難しいともいわれています。とくに山に囲まれた第6戦シュピールベルク(オーストリア)は、レーストラックの高低差が65mもあり、ゲートを抜ける際には高度を上げすぎてペナルティを受けないよう慎重を期すべき。逆に、日本のファンにとっては、アスコットで3位に入った室屋義秀選手に、同じ内陸レースだから……と期待してしまうのも無理はありません。

しかし、その移り気な“山の天候”に、室屋選手は苦しめられました。

9月5日、豪雨で予選がキャンセル。そのため6日の「ラウンド・オブ・14」は第5戦までのポイントランキングで組み合わせを決め、室屋選手は3戦連続でマティアス・ドルダラー選手と対戦することに。しかも、3組目あたりから突然、強風が吹き始め、4組目で飛んだ地元期待の強豪ハンネス・アルヒ選手が、風で揺れるスタートゲートでパイロットヒットして敗退するという信じられない事態が発生。その次の5組目で最初に飛んだ室屋選手は、強風のため予定していたラインを変更してパイロンヒットこそ免れたものの、パイロン通過時に機体が水平になっていないというインコレクトレベルのペナルティを受けて、まさかの敗退。



ブライトリング・レーシングチームのふたりも、残念ながら「ラウンド・オブ・14」で敗れてしまいました。ラム選手の1回戦敗退は2009年シーズン以来で、「スタートゲートへの進入スピードが、規定の200ノットをオーバーして202ノットになってしまった。とても残念だ」とコメント。フランソワ・ル・ボット選手も「飛行ラインが観客席側に膨れた、ということで失格になってしまった」とミスを悔いるいっぽうで、対戦相手がポール・ボノム選手ということもあってか、晴れ晴れとした笑顔を見せてくれました。

レースはマット・ホール選手が見事にエアレース初勝利を飾り、「無難にランキング2位で終わるつもりはない。チャンピオンシップ優勝を全力で狙う」と、残り2戦でのアグレッシブなフライトを約束。惜しくも2位に終わり、ホール選手に5ポイント差に迫られたポール・ボノム選手は「チャンピオンシップポイントについては心配していない。最終戦のラスベガスを終えたあとで、バーでゆっくり話すべきトピックだ」と余裕の表情。3位に入ったのはカービー・チャンブリス選手で、自国アメリカでの残り2戦へ弾みをつけました。

第6戦で室屋義秀選手が今シーズン2度目の表彰台に!ナイジェル・ラム選手はコースレコードを叩き出しながら惜敗。最終戦ラスベガスで、有終の美を飾るのは誰!?

2015年シーズンを締めくくるアメリカ開催のラスト2ラウンドのうち、最初の第7戦フォートワースは全米第2位の広さを誇るテキサス州北部の中心的な大都市。9月26日・27日、連日30度を超える猛暑のなか、このユニークでテクニカルな内陸コースに、マスタークラスのパイロット14名が挑みました。

予選で見事なフライトを見せたのは室屋選手です。コースレコード55秒584を記録したマティアス・ドルダラー選手にわずか0.026秒遅れの2位。「ヨシとは僅差なので、油断はできない」と、ドルダラー選手も室屋選手を警戒しています。

一方、決勝の「ラウンド・オブ・14」で会場の話題をさらったのは、ナイジェル・ラム選手でした。「レーストラックは気に入った。今週は接戦になるだろう」と話していたラム選手ですが、年間チャンピオン争いをしている優勝候補のひとり、マット・ホール選手との闘いに勝利しただけでなく、ドルダラー選手の予選タイムより早い54秒620というコースレコードを叩き出して、ディフェンディングチャンピオンの意地を見せました。ホール選手も54秒800の驚異的なタイムを記録しながらラム選手には及ばず、敗者最速タイムで救済されるのがやっと。また、室屋選手は安定した飛行を見せてピーター・ベゼネイ選手を破り、注目を集めたポール・ボノム選手とハンネス・アルヒ選手の優勝候補対決は、ペナルティを受けたアルヒ選手が敗退。ブライトリング・レーシングチームのフランソワ・ル・ボット選手は、予選1位と絶好調のドルダラー選手に及びませんでした。 「ラウンド・オブ・8」では、マルティン・ソンカ選手にラム選手が惜敗。「戦術を誤り、集中力を失ってしまった」と、ラム選手は負けた原因を冷静に分析つつ、「最終戦のラスベスは自信を持って臨める。今回のラウンド・オブ・14で自分のフォームを取り戻せたように感じているので楽しみだ」とコメント。室屋選手は、対戦相手のニコラス・イワノフ選手が4秒のペナルティを受けてこともあって、落ち着いたフライトで楽々と勝利しました。



そして、運命の「ファイナル4」。最初に飛んだソンカ選手が5秒のペナルティを加算されて、まず脱落。2番目のボノム選手は、風が強くなったラウンド・オブ8以降では初めて56秒を切る55秒285を叩き出し、圧倒的な強さを見せつけました。3番目に飛び立った室屋選手は、「ポール(ボノム)が良いタイムを出したので、目いっぱいプッシュしていきました」と、勝負をかけてアグレッシブに攻め、1周目のラップではボノム選手にわずか0.033秒差と肉薄。しかし、その直後に痛恨のパイロンヒット! この瞬間、初優勝の夢は消え去ったのです。それでも残りのフライトをミスなくまとめ、4番目のホール選手に抜かれたものの、室屋選手は今季2戦ぶり2度目の3位となり表彰台に。

「一番になるには、もうひと山超えなければなりません。でも、勝てるだけの材料が揃ってきたので、最終戦ラスベガスは勝ちに行きたい。ファイナル4で勝つのはハードルが高いですが、次のラスベガスは今回のフォートワースにコースが似ているので、この機体には合っているし、チャンスはあると思っています」と、“優勝宣言”ともとれる力強いコメントを残してくれました。

年間チャンピオン争いは、ボノム選手が67Pointsとなり、2位ホール選手との差を8Pointsに広げました。3位アルヒ選手が今回ノーポイントだったため、上位2人の1-2が確定。好調ボノム選手の優位のまま、新チャンピオンの行方は10月17日(土)・18日(日)に開催されるラスベガス戦に持ち越されることになります。

年間総合優勝はポール・ボノム選手! 室屋選手は最終戦4位、年間6位で終え、年間7位のナイジェル・ラム選手ともども、早くも来シーズンへ向けて始動!

2月13-14日のUAEアブダビ戦で開幕した2015年のレッドブル・エアレース シリーズも、いよいよ第8戦、10月17-18日に米国ラスベガスでフィナーレの場を迎えました。ポール・ボノム選手とマット・ホール選手のチャンピオン争いも、ついに決着がつきます。

第7戦でシーズン2回目の3位表彰台に立った室屋義秀選手は、その勢いのまま、自身初となる予選1位通過! しかもコースレコード! 「ラスベガスでは勝ちにいく」と宣言していただけに、一気に初優勝への期待も高まりました。 しかし、ラウンド・オブ・14の対戦は、ブライトリング・パイロット仲間のナイジェル・ラム選手。ラム選手は、マシントラブルもあって、予選1位のパイロットとぶつかることが早々に決まっていました。予選3位のボノム選手に、「ラウンド・オブ・14でナイジェル(ラム)と対戦するのは避けたかった。彼は昨シーズンのチャンピオンだ」といわしめたほどの強敵です。フォートワースで、ラム選手が好調マット・ホール選手を下したことも記憶に鮮明だったことでしょう。
ラウンド・オブ・14では直前に雨が降り出し、室屋選手は上空で待機させられるという事態に。これが結果的には室屋選手に有利に働きました。強風の中でフライトしたラム選手は「レーストラックの風が強く、暴れ馬に乗っているような感じだった。それなのに、ヨシ(室屋選手)がトラックに入ると風がおとなしくなり、彼が勝利してしまった」と残念しきりの様子。結果として、室屋選手が勝ち上がったのでした。
続くラウンド・オブ・8では、地元米国のマイケル・グーリアン選手を破り、今シーズンの3回目となるファイナル4へ進出。ところが、それまでのフライトのようなキレがなくなり、4位に失速してしまいます。

優勝はマット・ホール選手! 2位に入ったポール・ボノム選手が年間総合優勝を飾りまいた。ハンネス・アルヒ選手はラウンド・オブ・8でボノム選手に負けましたが、最終戦5位のリザルトを残し、総合ランキングでは3位に滑り込みました。また、レース終了後に、レッドブル・エアレース初年度の2003年から10シーズン連続で参戦中だったピーター・ベゼネイ選手が引退を表明。優勝8回、表彰台22回の偉大な記録を残した59歳のベテランパイロットに、世界中から敬意と引退を惜しむ声が寄せられています。



ブライトリング・レーシングチームのナイジェル・ラム選手とフランソワ・ルボット選手は、ともにラウンド・オブ・14で敗退。とくにディフェンディング・チャンピオンだったラム選手にとって、目の前で新チャンピオンの誕生を見るのは悔しかったはず。
「ラスベガスは、アップダウンの激しかった今シーズンを象徴するレースになってしまった。でも、ラスト2戦で来シーズンに向けてモチベーションが高まったと思う。今シーズンの経験をどう生かせば良いかわかっている。今年は機体をいろいろ変えすぎてしまったが、来シーズンはそのあたりを修正したい」とコメント。早くも来シーズンのアブダビ開幕戦からのスタートダッシュを期し、年間タイトルの奪還に燃えているのです。

もちろん、室屋選手も来シーズンは「年間総合優勝を狙う」と意気込んでいます。年間総合6位に終わったあと、オフィシャルFacebookに彼はこんなコメントを書き込みました。
「たくさんの方々のご支援・ご声援のおかげで、今シーズンを満足のいく内容で終えることができました。本当にありがとうございました。最終戦のファイナル4では、あと一歩、スピードが追いつかず悔しい思いをしましたが、シーズンを通してみると、チーム全体の力がついていることが証明されたシーズンだったと思います。レベルや順位も、自分が目標にしていたところまで来ていますし、レースに向けてのセットアップ面では強いチームになっています。今季のレースのなかでは初めて日本で開催された千葉のレースが一番記憶にありますが、もう当時のチームとは違います。ファイナル4に残るべくして残り、表彰台に立つべくして立っている。チームのみんなともすでに来シーズンに向けて動き始めています。来季は初戦から勝ちに行くつもりですし、年間優勝を取りに行くつもりです!」
パイロット、チーム関係者、そして世界中のエアレース・ファン……etc. それぞれの思いは、すでに2016シーズンへと向かっています。どんな戦いが繰り広げられるか、我々も来季の開幕戦を楽しみに待つことにしましょう。


2015レースマップ

2015エアレースマップ

RESULT

PilotNatPts
Nigel LambGBR 
Hannes ArchAUT 
Paul BonhommeGBR 
Nicolas IvanoffFRA 
Pete McLeodCAN 
Matt HallAUS 
Matthias DoldererGER 
Martin SonkaCZE 
Yoshihide MuroyaJPN 
Kirby ChamblissUSA 
Peter BesenyeiHUN 
Michael GoulianUSA 
François Le VotFRA 
Juan VelardeESP 

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