
究極の三次元モータースポーツ「レッドブル・エアレース・ワールド・チャンピオンシップ2016」の開幕戦決勝が3月12日にUAEアブダビで開催されました。
レッドブル・エアレース史上最多となる3度の年間優勝を果たしたディフェンディング・チャンピオンのポール・ボノム選手が昨年限りで引退し、今シーズンは昨季年間2位のマット・ホール選手や同3位のハンネス・アルヒ選手を軸に、同6位の室屋義秀選手、同7位のナイジェル・ラム選手らによる優勝争いが予想されていました。
ところが、大波乱のレース展開が待ち受けていたのです。
勝負の鍵となったのは、ゲート3。クラウンイン(観客の安全を守るために越えてはいけないセーフティライン)までの距離が極めて短いために大きくターンすることができない一方で、小さくターンしようとすれば規定の10Gを越えてしまう難しい設定でした。11日の予選では、全14人中8人のパイロットが、そのどちらかの罠にはまってミスを犯しました。その流れは決勝でも変わらず、多くのパイロットを苦しめました。
予選を4位で通過し、続くラウンド・オブ・14も順調に勝ち上がっていた室屋選手もそのひとり。ラウンド・オブ・8でオーバーGを犯して無念の敗退となりました。
「まさかオーバーGになるとは思いませんでした。正直、Gメーターのデータには疑問もありますが、これに適応するしかありません。幸いフライトはすごくまとまっていたし、機体のセットアップもいいので、G対策さえできれば十分に戦えることが分かったレースでした。次戦までにしっかりと対策をしたいと思います」(室屋)
その室屋選手にラウンド・オブ・8で勝ち上がったのが、ブライトリング・レーシングチームのフランソワ・ルボット選手です。初エントリーとなった昨シーズンは機体と技術がうまくかみ合わずノーポイントに終わってしまいましたが、彼は元世界エアロバティックチャンピオンの実力者。体制を整えて臨んだ開幕戦では、ファイナル4でも対戦相手のハンネス・アルヒ選手が失格となり、初めての表彰台をゲット。2位に昨季年間5位のマティアス・ドルダラー選手、優勝は同9位のニコラス・イワノフ選手でした。
「今日は自分の予想以上の結果になったので、何が起きたのかを理解するまでに数分かかった。ハードワークをこなす必要があった。チームに良い結果を持って帰れて嬉しい。彼らに感謝したい」と、3位入賞で9ポイントを獲得したルボット選手は喜びを語っています。
同じくブライトリング・レーシングチームのナイジェル・ラム選手は、予選7位で進んだラウンド・オブ・14で、引退したボノム選手の機体を引き継いだファン・ベラルデ選手と対戦。しかし、スピード超過のペナルティを受けて敗退、ノーポイントに終わりました。
「機体に表示されるGのデータが昨年よりかなり異なっていたので、そこに気を取られてしまった。アブダビではずっと後手後手だったが、トラック分析とチームの仕事には非常に満足している。問題を全て吐き出せたので、シュピールベルクが新しいシーズンの始まりになるだろう」
と、ラム選手がコメントした次戦オーストリアのシュピールベルクは、4月23日(土)、24日(日)に開催。反乱の展開は続くのか? 室屋選手とラム選手の巻き返しは? そして、初ポイントのプレッシャーを乗り越えたルボット選手のさらなる活躍にも注目です。

「レッドブル・エアレース・ワールド・チャンピオンシップ2016」第2戦決勝が4月24日(日)にシュピールベルク(オーストリア)で開催されました。
開幕戦でブライトリング・レーシングチームのフランソワ・ルボット選手が3位に入り、自身初の表彰台に立ったこともあり、チームメイトのナイジェル・ラム選手が第2戦にかける意気込みは相当なものだったはず。というのも、このシュピールベルクは2014年、ラム選手がワールドチャンピオンを決めた相性のいいコースでもあったのです。
「2015シーズンは酷い内容でした。シーズン中に色々と機体をいじりすぎてしまった。それに、今シーズンの開幕戦アブダビも満足はしていません。だから、シュピールベルクが開幕戦になると、チームのみんなには伝えていました」
前日の予選で4位でつけると、ナイジェル・ラム選手は決勝のラウンド・オブ・14、ラウンド・オブ・8と順当に勝ち抜き、ファイナル4へ進出。
ファイナル4の1番手ピート・マクロード選手がこの日の自己ベストを叩き出すと、2番手に登場した地元出身ハンネス・アルヒ選手がそれを上回るタイムで暫定首位へ。さらに3番手のマルティアス・ドルダラー選手が完璧なパフォーマンスを見せ、アルヒ選手に0.340秒差で1位を奪いました。
最後に登場したのがラム選手。途中までドルダラー選手のタイムを上回るフライトを披露しましたが、フィニッシュで0.013秒アルヒ選手に及ばず3位。優勝を飾ったのは隣国ドイツのマティアス・ドルダラー選手でした。
2014年以来となる表彰台に立ったラム選手は、レース後に「接戦でした。パイロットが望んでいるのはこういうレースです。Red Bull Air Raceのシーズンは、ほんの少しのミスで一気に順位を落としてしまう緊張感があります。シュピールベルクのような内陸のレーストラックで、森や木々をハイスピードで抜ける感覚は最高でした」と上機嫌な様子。
もう一人のパイロット、フランソワ・ルボット選手は、ラウンド・オブ・14で優勝候補のひとりマット・ホール選手に惜敗。「個人的には良いフライトだったと思いますが、まだ最高速が10ノット足りない状態。だが、自信は取り戻せた」とコメントした。
さらに残念だったのは、室屋義秀選手。最終のトレーニングで2番手のタイムを出しながら、スモークが出なくなっての緊急修理も及ばず、予選は1秒のペナルティを受けて10位で決勝へ。しかも、最初のラウンド・オブ・14の相手は、この日優勝したドルダラー選手。決勝直前にスモーク機構の全交換を行い、そのため出走が急きょ1番目となり、さらには強敵に対してギリギリを攻めた結果、1周目の最初のターンでオーバーG(規定の重力加速度を超過)となってしまい、開幕戦に続く失格となってしまいました。
「何か噛み合わないレースでした。2戦連続でオーバーGに悩まされているので、次戦に向けて機体の改良を進めつつ、対策を練っていきたいと思います。これまでの2戦は非常に悔しいですが、次は環境を含めて余裕のあるホームなので、歯車をきちんと噛み合わせて前に進んで生きたいと思います」と室屋選手。
次戦は、いよいよ6月4日(土)、5日(日)、千葉市海浜幕張公園での開催です。ブライトリング・レーシングチームのふたりは、ともに9ポイントの6位、室屋選手は3ポイント11位からの巻き返しを狙っています。

千葉・幕張海浜公園で開催されたレッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップ第3戦で、5シーズン目にして歓喜の初優勝を飾った室屋義秀選手の戦いぶりが注目された第4戦・ハンガリーのブタペスト大会。美しい街並みを控えたドナウ川に難コースが設定されましたが、7月6日(土)はあいにくの悪天候で、千葉大会と同様に予選がキャンセル。翌7日(日)の決勝も、天候を気にしながらの進行となりました。
パイロットとしては集中力を維持するのが難しい状況のなか、ブライトリング・レーシングチームのフランソワ・ルボット選手はいきなりラウンド・オブ・14で、ブタペスト大会の昨年勝者であるハンネス・アルヒ選手と当たって敗退。対照的にナイジェル・ラム選手は完璧なフライトを見せ、ピート・マクロード選手を寄せ付けませんでした。一方、室屋義秀選手にはトラブル発生! 機体のテーピングミスによってスモークがコックピットに入ってしまい、息苦しさと視界の悪さに苦しみながらの飛行となり、ファン・ベルテ選手にまさかの敗北。ただ、敗者のなかで最速タイムを残したファステストルーザーとして次に進めることが決定。このあたりの勝負強さは、ランキング上位選手に欠かせない要素でもあるだけに、気を取り直して行きたいところ。
しかし、悪天候がレースの行方を大きく左右することになりました。細かい雨が降り続け、ラウンド・オブ・8がキャンセルになりそうなコンディションのなか、急きょ決行のアナウンス。慌ただしくアルヒ選手と対戦したラム選手は、オーバーGを意識しすぎた結果、シケインのライン取りを誤り、タイムを伸ばせず敗退。「今日はとても難しいコンディションでした。今回の敗戦から立ち直るのには数日かかると思いますが、次のレースはアスコットなので楽しみにしています」とコメントを残しています。
室屋選手のラウンド・オブ・8の対戦相手は、前回の千葉大会でファイナル4を戦ったカービー・チャンブリス選手。気流が荒れたなか、フライトに臨んだ室屋選手はゲート7への侵入でわずかにタイミングが狂い、インコレクト・レベル(翼の角度が水平ではなく、規定値より傾いていた)により2秒のペナルティが課せられて万事休す。その後、天候が回復せず、ファイナル4が中止となり、ラウンド・オブ・8でのタイムによって、マティアス・ドルダラーが今季2回目の勝者に。ポイントもさらに上乗せして、年間ランキング1位を快走しています。
年間3位以内を目標とする室屋選手は「マティアスが優勝したのはちょっと痛かったし、前回優勝だったので5位は残念ですが、レース展開を考えれば十分に戦えたと思います。1年を通じてみれば、今回のように手堅くポイントを獲得することも大切です。次のラウンドに向けて、また準備を進めたいと思います」とコメントしました。
今シーズンの前半4試合を終えて、年間ランキングでは室屋選手が4位、ラム選手が6位、ルボット選手が10位と、千葉大会終了時のポジションをキープ。後半4試合の初戦となる第5戦・英国アスコット大会は、8月13日(土)・14日(日)の開催です。とくに地元ナイジェル・ラム選手の活躍に期待しましょう!

シーズン後半への折り返し地点となった英国アスコット競馬場は、1711年に設立され、所有者がイギリス王室という由緒正しき施設。エアレース会場に選ばれて3年目、普段なら競馬で盛り上がる観客席の目の前から、エアレースの機体が離陸するユニークなスタート方式が見ものです。隣接するゴルフ場にかけて設営されたこのタフなレーストラックで、昨年、3位表彰台に立ったのが、室屋義秀選手でした。
年間ランキング4位で臨んだ今年、予選で3位の好タイムを出した室屋選手は、ラウンド・オブ・14でカービー・チャンブリス選手と対戦し、2秒近い差をつけて完勝。続くラウンド・オブ・8は、対戦予定だったピート・マクロード選手がフライト後に失格となり、繰り上がってきたマイケル・グーリアン選手と対決することに。タイムが伸びないグーリアン選手に楽勝かと思われましたが、予選前から自身が何度も「ポイント」と語っていたゲート6で痛恨のパイロンヒット。3秒のペナルティを受けて、まさかの敗退となってしまいました。
レース後に室屋選手は「ラウンド・オブ・8でプッシュする必要はありませんでしたが、ファイナル4の練習のつもりで少し攻めました。でも、風の流れが変わって、ゲート通過時の角度を間違ってしまいました。チームの調子は良く、タイムも出せているので、残り3戦はすべて表彰台、2勝を狙っていくつもりです」とコメント。年間ランキング6位からの巻き返しに意欲を燃やしています。
一方、ブライトリング・レーシングチームのふたりは、年間ランキング1位を快走中のマティアス・ドルダラー選手の壁を越えられませんでした。フランソワ・ルボット選手はラウンド・オブ・14で、ナイジェル・ラム選手はラウンド・オブ・8で、それぞれ手痛い敗戦。特に英国人のラム選手は「ホームレースで優勝できなかったのは悲しいが、ファイナル4へ進出できなかったことが何よりも悔しい。どこが足りなかったのか分からない。ただ、アスコットの空域は混雑しているし、ロケーションとしても歴史があるので、こうして飛べるのは光栄なことだ」とコメント。年間ランキングも、6位だったラム選手は7位へ、10位だったルボット選手は11位に後退しています。
レースは、これまで不調だったマット・ホール選手が、ドルダラー選手とハンネス・アルヒ選手を抑えて今季初優勝を飾り、年間ランキングは3位へジャンプアップ。残る3戦、ランキング上位の争いはますます熾烈を極めてきました。まずは9月3・4日のドイツ・ラウジッツ大会に向けて、ブライトリング・パイロットたちの挑戦は続きます。

レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップ2016年シーズン第6戦が、9月3日(土)・4日(日)、ドイツのラウジッツにあるにユーロ・スピードウェイで開催されました。いつものレーシングカーに代わって、この日は全長3.2kmのオーバルトラック上空を、最高時速370kmでエアレース機が疾走。ヨーロッパラウンドの最後を飾るにふさわしい舞台となりました。
3日の予選で最高のパフォーマンスを披露したのは、ブライトリング・レーシングチームのナイジェル・ラム選手! 予選2位のマット・ホール選手に1.303秒もの大差をつけて53.110秒を叩き出したのです。ちなみに室屋義秀選手は54.700秒で予選3位、年間ランキング争いでトップを快走するマティアス・ドルダラー選手は55.470秒で予選7位。ラム選手のコースレコードは、翌日の決勝を通じて誰も破ることはできず、室屋選手のレース分析を担当するベンジャミン・フリーラブも「すべてのセクションでパーフェクトなフライトだった」と舌を巻いたほど。
実は、室屋選手は予選2本目のフライトで、そのラム選手のタイムに挑んで限界まで攻め込み、オーバーGで失格。ただ、これは意図的なチャレンジだったので納得済みの結果でした。しかし、翌4日の決勝でニコラス・イワノフ選手と対戦したラウンド・オブ・14、室屋選手はまさかのオーバーGで失格となってしまったのです。
「(2秒のペナルティを受けた)イワノフ選手のタイムは分かっていたので、あまり攻めずに、自分のペースで飛んでいました。あのコーナーでのオーバーGは全く予期しない展開だったので、かなり悔しいです。機体のアップデートだけでなく、気温や空気密度など、気象条件に対してもあらゆる角度からの対策が必要でした。今回はパイロット側の準備不足です。ここ3戦、苦しい戦いが続いていますが、これからしっかりトレーニングと対策を重ねて、残り2戦、持ち直していきたいと思います」(室屋選手)
一方、予選で最速タイムを記録し、「今日の勢いを決勝でも維持したい。ようやくいろいろと噛み合ってきた」と語っていたナイジェル・ラム選手ですが、ラウンド・オブ・14で1秒のペナルティを受けて敗退。「今日はとにかく全力を出すことだけを考えていた。それはつまり、ペナルティを受ける可能性も高くなる。自分のチームが全力を尽くして調整し、自分のフライトも悪くなかったが・・・」と肩を落としました。
チームメイトのフランソワ・ルボット選手も、決勝で3位に入ったピート・マクロード選手と対戦したラウンド・オブ・14で敗退。「今までで一番好きなレーストラックだ。心の底から楽しむことができた。とはいえ、決勝レース日のコンディションはベストではなかったので、主翼がストールしないように注意していた。自分なりのベストを尽くせたので、後悔はしていない」とコメントはあくまで前向きです。
結局、レースは第5戦に続き、マット・ホール選手が優勝。ただ、マティアス・ドルダラー選手も2位となり、年間ランキング1位は死守。ホール選手は「今回のコースは自分のスタイルに合っていたし、調子が戻ってきたことも嬉しい。昨年チャンピオンシップ2位を経験し、最終戦ラスベガスで最後の最後まで必死になって戦った。マティアスにはその経験がなく、私には失うものがない。次戦でどうなるか見ものだね」と、10月1・2日に迫った米国インディアナポリス戦でのドラマティックな展開に期待をかけます。
なお、ラウジッツ戦で5位となり、年間ランキング3位に立っていたベテランパイロットのハンネス・アルヒ選手が、オーストリアでのプライベートヘリコプター事故で急逝しました。48歳でした。誰からも愛されていた同氏のご冥福をお祈り致します。

レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップ第7戦(10月1日・2日)の会場は、米国インディアナポリス・モーター・スピードウェイ。インディ500やNASCAR、MotoGPのほか、過去にはF1も行われたモータースポーツの聖地で、初開催となったエアレースを制したのはマルティアス・ドルダラー選手でした。今シーズンの7戦中優勝3回、2位3回と安定した成績を収め、最終戦を待たずにワールドチャンピオンの座を獲得したのです。
そのマティアス選手とラウンド・オブ・8で対戦したのが、同じ2009年ルーキー組の室屋義秀選手でした。レース後に「シャープなフライトができたと思いますが、マティアスにそれ以上のタイムを出されてしまった。残念です」とコメント。ラウンド・オブ・8全体で2番目のタイムを出しながら、ファイナル4に進むことができませんでした。
この日、ドルダラー選手を唯一追い詰めたのが、ブライトリング・レーシングチームのナイジェル・ラム選手でした。ファイナル4でドルダラー選手を残してトップのタイムを叩き出し、プレッシャーをかけると、ドルダラー選手は全力のフライトで挑み、ラム選手のタイムを上回ってフィニッシュしたのです。
ナイジェル・ラム選手いわく「私が2014シーズンのチャンピオンになれたのは、安定したフライトを続けていたからだ。今シーズンのマティアスはずっと安定していた。今日はハッピーだ。表彰台に登れるのは嬉しい。しかし、2位はあくまで2位なので少し残念だ」
チャンピオンは決まったものの、この時点でナイジェル・ラム選手は総合ランキング3位までわずか3.25ポイント差。その点、総合6位の室屋選手も、目標の総合3位まで9.5ポイント差。ともに最終戦で挽回を期していた・・・はずでした。
10月16日に開催された最終戦ラスベガス大会は、強風が吹き荒れる中、ラウンド・オブ・14の7組中5組が終了した時点で、コンディションが悪化。レースの中止が決定してしまったのです。これにより前戦インディアナポリス大会までの結果をもって、2016年シーズンのランキングが確定しました。ブライトリング・レーシングチームの二人はナイジェル・ラム選手が4位、フランソワ・ルボット選手が12位、ブライトリング・パートナーの室屋選手は6位。
大会キャンセルという結果を受けて室屋選手は「今日は勝負するコンディションではありませんでした。年間総合3位という目標に届かなかったのは残念ですが、このレースがキャンセルになったからではなく、それまでのレース結果の積み重ねですから仕方ないですね」と語りました。
そして9シーズンにわたり参戦を続けたナイジェル・ラム選手が、今大会をもってレッドブル・エアレースを卒業します。フレンドリーで紳士的な人柄が多くのファンに愛され、パイロット仲間からも信頼されてきた彼は「最終戦を飛べなかったという心残りはありますが、何とかパイロンを立てようと懸命に頑張る大会スタッフたちに心打たれました。レースから静かに退席し、今後どうするかじっくり考えるつもりです」とコメントしました。
ベテラン・パイロットが去って寂しくなる一方、若手パイロットの挑戦が始まろうとしています。2015年のチャレンジャークラス王者で、来年のマスタークラス参戦に向け、今シーズンはナイジェル・ラム選手の指導のもと育成プログラムを受けていたフランス人パイロットのミカ・ブラジョー選手です。ナイジェル・ラム選手はレースを戦いながら、勝つためのノウハウのすべてをブラジョー選手に伝えるという大仕事をしていたのです。
正式なスケジュールはまだ発表されていませんが、数ヵ月後には新たな2017年シーズンの開幕を迎えます。ブライトリング・レーシングチームはミカ・ブラジョー選手を迎え入れ、全面的なバックアップを約束しました。この若きパイロットが旋風を巻き起こすか、あるいは「次のシーズンこそ、総合優勝を狙います」という室屋義秀選手がスタートダッシュに成功するか。すでに各チームは寸暇を惜しんで準備を進めています。